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7月

【230】 2018年7月23日付 フィンテック最新事情(89)

チェースは、銀行の中に「デジタルを取り込む」戦略にでた
デジタル・オンリー・バンク FINN
 
 米国のJPMorganチェース銀行の “デジタル・オンリー・バンク 
FINN” が注目を集めている。
 ビジネス・インサイダー(7月5日付)の報道は「チェースがFINNを全国展開した」と紹介し、「大手銀行が自分たちの芝に踏み込む戦略を決断したとしたなら、フィンテックは、いったいどのような対応をするのか?」と疑問を投げかけている。
 フィンテックのチャレンジャー・バンクが市場を破壊するには、最新のデジタル技術を駆使し「支店を持たず、手数料を安く、デジタルネイティブのミレニアム世代に受け入れられる」のが必須条件であった。従来の大手行はそれに対抗し、フィンテック側のチャレンジャー・バンクを買収して傘下に収め、新市場を開拓するとの事例はあった。
 スペインのBBVA銀行が、米国でSimpleを買収した4年前の事例がその典型だが、ビジネス・インサイダーは、「今度は、銀行が新人類を集め、従来の組織とは隔離して、短期開発する手法を取り入れ、顧客の期待をすぐ反映させる開発体制、つまり自前のフィンテックを持ち、デジタル・オンリー・バンクを開発したら、どうなるか?」である。チャレンジャー・バンクをフィンテックが開発するのと同じように、銀行がデジタル時代のニューマーケットを取り込む、フィンテックへの対抗ともいえる経営戦略の推進を
始めた。
・・・続きは紙面に掲載

【229】 2018年7月16日付 フィンテック最新事情(88)

バンカメは「デジタルバンキングで優位」と評価された
デジタルセールス26%に上昇 バンカメ
 
 最近、米銀CEOが四半期決算報告の際にデジタルバンキングの浸透度とそのコスト削減効果を示す指標に「デジタル・セールス」を使うことがよくある。バンカメでは以前の利益率が悪い時、モイニハンCEOは投資家から批判を浴びる度に「コストカットとデジタルバンキング」だと強調していた。幸い、バンカメの前四半期は好調な決算、もう投資家から痛烈な批判を浴びることはない。
 むしろ投資分析サイトのSeeking  Alpha(7月3日付)は、バンカメの決算を分析したレポートで、バンカメのデジタルバンキングへの取り組みを「デジタル化の進む米銀業界の中でも優位性がある」と次のように高く評価した。
 投資家にとって、デジタル化が、小切手の処理コスト以上に、バンカメにどのようなメリットを与えるのか、これは気になるところだ。
 「バンカメは3500万人のPCバンキングユーザを抱える。その内の2500万人はモバイルユーザでもある。今年の第1四半期にはモバイルユーザのアクセスは32%まで上昇し、13億8千万回ものやり取りがある。預金の24%は、バンカメのモバイルアプリからの処理である」。
・・・続きは紙面に掲載

【228】 2018年7月9日付 フィンテック最新事情(87)

銀行VSフィンテック、競争は新しい段階に入ってきた
ペイメントが「選択」を迫る Zelle vs Venmo
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 フィンテックと銀行との関係が、競争よりは協働の関係にステップアップしている。銀行ビジネスを破壊するものと恐怖の念でフィンテックを表現していた初期の段階が過ぎ、「もうスケールアップの時期」と競争より協働の関係になった。それなりにフィンテックも成果を上げた。ただし、ペイメントとレンディング領域では、フィンテックによる破壊が報告されていて注目される。
P2P(個人間)ペイメントの世界でのフィンテック(Venmo)と銀行(Zelle)の戦いについては、本稿172号(17年3月27日付)の「再び銀行に顧客を取り戻す」で採り上げ、銀行業務とフィンテック・サービスとの違いについて触れてみた。これは、ペイメント業務に新た
な変革が起きたものではない。フィンテックから提供され、広く使われ始めたサービスが、従来のものよりも格段に使い勝手が良かったためだ。
 もともとペイメントとは、銀行業界があって成り立つ業務である。それに対してVenmoは顧客を纏めて集団を構築し、その集団の中での使い易い便利なペイメントを提供したサービスである。したがって、このP2Pペイメントの戦いとは、顧客にVenmoの世界を選ぶのか銀行の世界を選ぶのかの選択を迫るものとなった。  
・・・続きは紙面に掲載

【227】 2018年7月2日付 フィンテック最新事情(86)

もう、金融にとって「国際交易」は不可避となった
鎖国からの開国を求める オープンAPI
 
 今年2月に「オープンバンキングの素晴らしい新世界」との報告書がマッキンゼー社から出されている。これによると「オープンバンキングは避けることはできない」、しかも誰もが「急激な構造変化をもたらすもの」と認めており、調査回答者の66%が「オープンバンキングは『脅威』でなく、『好機』だと理解している」との結果が示されている。
 サイバー空間でデジタルビジネスを展開する銀行にとって、APIは第三者とビジネスをする交易の役割を担う。オープンバンキングに乗り出す銀行業界の動揺を、日本の400年前の鎖国政策、長崎だけに限定していたオランダと中国だけの貿易政策のさなか160年前に起きた米国黒船艦隊による来襲による開国を例に紹介している。
 銀行が、規制によって守られていた「中庭」に安住して、外敵から守られた世界は、かつての日本の鎖国政策と全く同じ。国内の文化や産業が外資によって乱されることを防ぐのと同じだったと指摘する。ただ日本が鎖国する一方でオランダは、世界に羽ばたき、広くオープンな交易を行い、発展していった。
・・・続きは紙面に掲載
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